家は「完成」ではなく「育っていく」もの

家は「完成」ではなく「育っていく」もの

あるオーナー様のお宅に、引き渡しから三年ぶりにお伺いする機会がありました。リビングに足を踏み入れた瞬間、最初に感じたのは「全然違う」という驚きでした。といっても、リフォームをしたわけではありません。むしろ、変わったのはもっと静かなところでした。

床は、引き渡しの日にはまだ真新しい質感でしたが、三年分の暮らしの跡を吸い込んで、しっとりとした艶のある色に変わっていました。子どもの落書きが残る柱の傷も、最初は気になっていたはずなのに、今ではその家の歴史の一部のように見えました。窓辺の鉢植えも、引き渡しの頃よりずいぶん大きくなっていて、リビングの景色をすっかり変えていました。

家づくりというと、つい「完成」のイメージで考えてしまいます。図面が固まり、工事が終わり、鍵を受け取る瞬間がゴールのように感じられる。けれど、実際に住み始めてからの方が、家にとってはずっと長い時間です。素材は経年で色や質感を変え、家具の配置は暮らし方に合わせて少しずつ動き、子どもの成長とともに部屋の使い方そのものが変わっていく。家は、引き渡しの日に止まるものではなく、そこから先も住む人と一緒に育っていくものなのだと思います。

BLANCOで素材や間取りを選ぶときに大切にしているのは、「今がいちばん良い状態」であることではなく、「何年経っても、その時々で心地よくいられること」です。経年とともに表情を増していく素材を選ぶのも、その変化そのものを暮らしの味わいにできるからです。新築の瞬間だけが特別な家ではなく、五年後、十年後にも「ずっといいな」と思える家であってほしい——その想いが、BLANCOの設計のあちこちに込められています。

完成した瞬間がゴールではなく、そこから先の暮らしがはじまり。家は、住む人とともに、ゆっくりと育っていくものだと思います。

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